奥羽教区ハラスメント対策ガイドライン
目的
奥羽教区は「一つなる教会」の伝統の下、北東北の広い地域に点在する教会が互いに支えあっている。主イエスキリストを頭とする教会で、私たちは神の子としてすべて等しい者とされているが、人と人の間にある力関係が、教会の中でも深刻な人権侵害を起こし、弱くされた者を苦しめる事例が後を絶たない。この現実を踏まえ、奥羽教区は、人権侵害防止委員会を設置し、啓発活動を行い、ハラスメントを予防する。人権侵害が起こった場合、被害者の側に立って問題解決を図り、再発を防止するためこのガイドラインを定める。
ハラスメントの定義
ハラスメントとは、人に対する嫌がらせやいじめ等による人権侵害を指す。
属性や人格に関する言動により、相手に不快感や不利益を与え、尊厳を傷つける行為。
セクシュアルハラスメント、ジェンダーハラスメント、パワーハラスメント、モラルハラスメントなど。
扱う範囲
奥羽教区に属する教会・伝道所・関係団体内で起こった事案について、当該組織内で解決困難なものについて扱う。牧師や信徒はもとより、礼拝をはじめ教区・地区・各教会が企画する集会等に集う未信者・求道者も含む。
関係施設、関係学校内で起きた事案については、労働基準法によって義務づけられた各事業所の措置に準じ、各組織が対応する。また、他教区、他教団から相談があった場合は、相談窓口での対応のみとし、相談者から依頼があっても調査等の対応は行わない。(相談窓口対応者は、その旨相談者に伝えたのち相談を受ける)
尚、相談者とは、本人または第三者とする。
対応するための組織
〇人権侵害防止委員会
・構成:各地区より1~2名・常置委員1名。(人選:常置委員会)
・活動内容
相談員として相談窓口を担当。相談員の氏名は、非公開とする。
啓発活動
(パンフレット作製や、教区宣教部・奥羽教区部落解放センター運営委員と協働し研修会を開催する。)
報告書を作成し、相談内容の情報共有を図る。
個人情報の管理、守秘義務の徹底。
相談者が対応を求める場合、協議し常置委員会に報告する
〇調査委員会
・常置委員会の下に設置。常置委員会が人選を行う。
・構成:他教派の牧師・信徒、大学教員、弁護士等の専門家など、すぐに動くことが出来、相談者・相手方双方に利害関係のない者を状況によって加える。
・活動内容:相談者、相手側、周辺と面談し事実確認を行う。
加害行為の有無を認定し、常置委員会に報告する。
〇常置委員会
・人権侵害防止委員会からの報告を受け、必要に応じて対応(教区問安、調査委員会立ち上げ等)する。
・調査委員会の報告を受け、協議し、対応を決める。
・相談者と相手方に対して、対応の報告を行う。
相談の流れ
① 相談者(本人または第三者)は、教区事務所に電話をする。
② 教区事務所は、相談者に、人権侵害防止委員会相談窓口担当者の連絡先を伝え、相談者本人から直接担当委員に連絡をしてもらう。(その際、住んでいる地区以外の担当委員を選ぶことも出来る。)
③ 相談を受ける際、担当委員はあらかじめ対応出来る範囲について伝え、了承を得てから話を聞く。担当委員は相談者と信頼関係を築き、受容傾聴しながら、問題を理解するために必要な情報を整理する。
④ 相談者が対応を求めない場合は、相談業務は終了となり、常置委員会に報告を行う。
⑤ 相談者が対応を求める場合は、人権侵害防止委員会で協議し、常置委員会に報告を行う。
⑥ 常置委員会は、必要に応じて対応(教区問安・調査委員会立ち上げ等)する。
問安においては、状況に応じて相談者・相手側等から聞き取りを行い、「牧会カウンセリング」や「環境改善支援」を提案する等相談に応じる。
問安で解決せず、法的対応が必要な場合、常置委員会は調査委員会を立ち上げる。
⑦ 調査委員会は、相談者と相手方・周辺と面談し、事実確認と加害行為の認定を行い、結果を常置委員会に報告する。
⑧ 常置委員会は報告をもとに協議し、相談者と相手方に対応を報告する。
本ガイドラインの改廃は、常置委員会の議決による。
人権侵害防止委員会規則
日本基督教団奥羽教区常置委員会
第1条(目的)本規定は、奥羽教区内の教会、伝道所、関係施設における人権侵害を予防し、ハラスメントの訴えに対し適切な相談対応をすることにより、一人も漏れることなく支え合う交わりを形成していくことを目的とする。
第2条(設置)前条の目的のために、奥羽教区常置委員会は、人権侵害防止委員会(以下、委員会)を設置する。
第3条(委員長)委員長は、常置委員から選任される。委員長は、委員会を招集する。また、委員および常置委員会が要請した時にも委員会を開催する。ただし、委員長は直接の相談業務には携わらない。
第4条(委員)委員は各地区から1~2名とし、常置委員会が選任する。委員の氏名は非公開とする。任期は2年、ただし再任は妨げない。
第5条(任務)
1 <啓発活動> 教区宣教部・教区部落解放センター運営委員と協働し、人権侵害行為の防止、および対策に必要な研修・学習会を開催する。パンフレットの作成。
2 <相談業務> 教区がハラスメント相談窓口を設置し、委員会が運営にあたる。委員は適切な研修を受けた後、高い倫理観を持って相談員となり、相談業務に携わる。相談を受けた委員は記録を取り、委員長に報告する。委員長は委員会を開催する。記録は厳重に管理する。
3 <常置委員会への報告提案> 相談された事案について、常置委員会に報告し、対応について具体的に提案する。
4 その他、人権侵害行為の防止、および対策に必要な事項。相談業務遂行のための継続的な研修の受講。
第6条(義務)
1 (守秘義務)委員は、任期中、および、任期後において、その任務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。
2 委員は、当事者の名誉、およびプライバシーなどの人格権を侵害することのないよう、慎重に行動しなければならない。
第7条(記録管理)委員会に関する記録は、委員会において責任を持って管理する。
第8条(費用)委員会の費用は、常置委員会の判断のもとに、教区経常会計より支出する。
第9条(規則の改廃)本規則の改廃は、常置委員会の議決による。
相談窓口運営規定
日本基督教団奥羽教区常置委員会
第1条 (範囲)
相談窓口は、教区内教会、伝道所、関係施設で起きたハラスメントについての相談を受ける。相談の内容によっては適切な相談機関を紹介する。
第2条(相談業務の基本姿勢)
相談員は相談対応によってセカンドハラスメントを起こさないよう、以下の基本的姿勢を保つ。
1自分の価値観を相談者に押し付けない。
2倫理観を守る。
① 相談者の幸福と利益を優先する。
② 相談員が知り得る個人情報・相談内容について守秘義務を厳守する。
③ 相談員が、相談内容の関係者と利害関係にあると気付いた時には、他の相談員と交代する。
④ 相談者の権利を尊重する。
3情緒的客観性を保つ。相談者に近づき過ぎない、距離を取りすぎないなど、適切な距離を保つ。
4 公平性を保つ。相談者の社会的評価等によって対応に差が出ないように、相談のやり方と対応を統一する。
第3条 (相談の受付)
1 相談は、奥羽教区事務所を通して、電話、手紙、インターネットで受け付ける。相談者は、相談者の連絡先、相談の希望がある事実(相談の内容ではない)と、どの地区の相談員に聞いてほしいかを申し込む。
2 教区事務所は、受付順に指定された地区の相談員に相談が来ることを伝え、電話とレコーダーを送る。相談者には相談の日時を確認して相談窓口の電話番号を伝える。
3 教区事務所では相談は聞かない。また、相談員の氏名や個人の電話番号は教えない。
第4条(相談窓口開設の日時)
(未定 月に1度か2度とする。初期相談員選任後に定める。)
第5条(電話)
1 教区で携帯電話を契約する。電話はボイスレコーダーとセットにして基本的に教区事務所で保管し、相談を受け付ける地区が決まったら、相談員宛に送る。
2 相談は二人で聞けるようにスピーカーにし、業務に万全を期すため相談者の了承を得た上でボイスレコーダーで録音をとる。
第6条(相談の対応)
1 相談窓口は各地区ごとに、原則2人1組で相談にあたる。
2 相談者に対して、最初に、電話の録音を取る事を説明し了承を得る。録音の了承が得られない場合は、第8条に定めらた記録用紙への記録にとどめる。
3 相談員が知り得る個人情報・相談内容について守秘義務を厳守する事を説明する。
4 実際の対応は一人が担当し、もう一人は補助に回る。電話内容によっては、相応しい相談先を紹介する。
第7条(開設場所)
相談を受ける場所は、相談員が自由に選ぶ(人の出入りがなく、静かなところ)。
第8条(記録、保管、録音消去)
受け付けた電話相談については、記録用紙に記録する。記録用紙、音声記録とも、個人情報の保護に努めた上で教区事務所で保管する。音声記録については適切に保管し、相談、対応が終わった時点で消去する。
第9条(相談受付後の報告)
1 相談を受けた後は、必ず人権侵害防止委員会の委員長に報告する。
2 対応が必要な場合には委員長の判断で委員会内で話し合い、常置委員会に提案する。
第10条(相談員のミーティング)
必要に応じて、人権侵害防止委員会で受け付けた相談について分かち合う。
第11条(ホームページ、パンフレットの内容)
1 相談受付の相談申込書(フォーマット)
各地区に相談員がおり、相談先の地区を選ぶことができること。
2 相談窓口を開設する日時(初期委員選任後に定める)
3 教区事務所に相談を申し込むこと。電話、メール、手紙いずれも可。
教区事務所が受け付けてから、相談窓口の電話番号を伝えること。
4 窓口開設日時に電話して相談する。窓口は二人で対応すること。
5 相談電話をかける順番を待ってもらう場合があること。
6 相談フローチャート
7 教区事務所では、原則として、相談受付のみで相談業務は行わない。
第12条(本規定の改廃)本規定の改廃は、常置委員会の議決による。
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